汗の基礎知識 汗の基本情報
汗の種類や汗が出るメカニズム、制汗成分の最新研究について
基礎知識1 2種類の汗と2種類の汗腺
私たちの体から出る汗は、体温上昇時に気化熱を利用して体温を調整する「温熱性発汗」と、ストレス(緊張や興奮)を感じた時に出る「精神性発汗」の大きく2種類があります(この他、辛いものを食べた時などに出る味覚性発汗もあります)。汗を出す「汗腺」には、全身に分布する「エクリン汗腺」と、わきの下や陰部など体のごく一部に分布する「アポクリン汗腺」の2種類があります。
基礎知識2 マンダムが解明した汗が分泌されるメカニズム
エクリン汗腺は、1本の管がコイル状に複雑に絡み合った構造をしています。体温上昇や緊張などのストレスなどにより、脳の視床下部が汗を出すよう指令を下すと、交感神経からアセチルコリンという神経伝達物質が分泌され、筋上皮細胞上のムスカリン受容体に結合します。その結果、筋上皮細胞にはたらき収縮運動が起こり、分泌部全体が大きく収縮することで皮膚表面へと汗が絞り出されます。
この発汗メカニズムは、2018年マンダムと大阪大学の共同研究(pdf)により明らかにされました。
汗が出るメカニズム
基礎知識3制汗剤が汗を抑制する技術
汎用される技術(制汗成分:ACH)
制汗剤は一般的に汗の出口にフタする成分、ACH(クロルヒドロキシアルミニウム)などを肌につけることで発汗を抑制しています。とてもシンプルなメカニズムですが、大量の汗が出た場合、フタが流され効果が弱くなるという課題があります。
新しく発見された期待の新技術(新制汗成分:GMA)
大量の汗に弱いという課題を解決する成分として注目されているのがGMA(グリチルリチン酸モノアンモニウム)です。GMAは、漢方薬などに使われる生薬「甘草」に含まれる成分で、汗腺から汗を絞り出す筋上皮細胞のギャップジャンクション*1を介した収縮を抑制し(汗腺を一時的に眠らせ)発汗量を4~6割に抑制すること、暑さによる温熱性発汗に加え、緊張やストレスによる精神性発汗も抑制することが、2023年マンダムと大阪大学の共同研究によって明らかにされています。新しい制汗成分として、今後の製品化に期待が寄せられています。
新制汗成分GMAが汗を抑えるメカニズム