においの研究 におい研究員のお仕事
「体臭研究」は、主に、臭気判定(においの評価)→におい収集→におい測定・分析→においの原因物質研究・対策成分研究に分かれます。それぞれ専門の研究者が連携して、体臭の原因究明と対策について日々研究しています。
におい研究員のお仕事STEP
STEP1臭気判定(においの評価)
体臭研究はタフな仕事です。「スパイスのような臭い (ワキ臭)」「納豆のような臭い(足臭)」・・・など、実際に、人がどのような臭いを感じ取っているかを判断するのは機器ではなく、人間の嗅覚で行うしかありません。
特別な訓練を受けた研究チームが臭いをプロファイル
「臭気判定士」の国家資格をもつ研究員を中心に特別な訓練を受けた研究員がチームを組み、部位別に臭いを嗅ぎ、その臭いの特徴をプロファイルします。10代から60歳以上まで、年間約200人の男性の臭いを判定しています。
臭気判定士とは- 臭気判定士とは
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臭気判定士(臭気測定業務従事者)とは嗅覚測定法を行うための資格であり、パネルの選定、試料の採取、試験の実施、結果の求め方まで全てを統括する、臭気環境分野で初めての国家資格です。全国で12,000件(令和元年度苦情件数)以上も発生している悪臭苦情を解決するために、工場・事業所からのにおいを測定するのが主な仕事です。自治体からの委託を受けるためには必要な資格です。
出典:公益社団法人 におい・かおり環境協会公式サイトより
いろいろな部位の臭いを直接、鼻で嗅いで測定
研究チームの研究員たちは、被験者である男性のワキや頭、足、体幹部分など、体のいろいろな部位の臭いを直接、鼻で嗅いで測定しており、「ミドル脂臭」の原因物質である「ジアセチル」の特定に至るまでには、7年間で約800人もの男性の臭いを判定しました。
マンダム独自の臭いの指標
評価項目は、これまでの試験データからマンダム独自の臭いの指標(13項目)を作成し、測定と評価を行っています。
複数の研究員がチームで評価し、精度を高める
一人の被験者に対し、複数の研究員がチームとなって臭いを測定し、その結果を総合的に評価することで、臭い判定の精度を高めています。
STEP2におい収集
臭気判定後に、においサンプルを収集します。体臭を収集したい部位にサンプリングバッグをかぶせ、専用のボンベの中に臭いを吸い込みます。
気になる臭いをサンプル収集
気になる臭いをサンプルとして収集します。例えば、頭部付近から多く発生するミドル脂臭の場合、被験者の頭部にサンプリングバッグをかぶせ、発生する臭いを袋内に閉じ込めます。
特殊な素材のサンプリングバッグで臭い収集
サンプリングバッグは、臭いの付着しにくい特殊な素材で出来ており、試料採取用ボンベの中に、その臭いを充填します。
こうして、研究用のにおいサンプルが完成します。
数え切れないほどのサンプルが集められる
研究室の一角には、多くの被験者から採取したにおいサンプルのボンベが・・・。
さまざまな臭い分析法
その他のにおい分析法として、においサンプル採取用の枕カバーを装着した枕を使って、被験者に一定期間、実際に睡眠してもらいます。その枕カバーを回収し、臭いを採取する方法があります。回収した枕カバーは、臭気が消えないように密封して冷凍保存しています。
STEP3においの成分分析
サンプル採取した臭いは、におい成分を解析する高性能な分析装置で、臭いに含まれる成分が分離され、その成分量まで測定出来ます。
体臭を成分ごとに分離し、個別の臭いを確認できる機械
においを分析する機器「GC-MS-O」*を体臭の分析に活用し、多くの成分が混在している体臭のにおい成分を分離します。これにより、成分ごとの個別の臭いを同時に確認することができます。そのため、分離した成分の中でどれが悪臭か、どれがキー成分になるかを解析できるのです。
マーキング作業は並外れた集中力が必要
装置(GC-MS-O)の中で、臭いの成分が一つ一つ分離された後、機械の吐出口から出てくる臭いを人間の鼻で嗅ぎ、臭いを感じた瞬間に都度マーカーをつけながら臭いの特徴を記録します。この臭いの分析では、1サンプルあたり約45分間休むことなく臭気を嗅ぎマーキング作業を行います。一瞬も気を緩めることができない集中力のいる作業です。
臭い成分の分離データとマーキングによって解明
分離されたにおい成分の構造情報と、機械の吐出口で感じた臭いの質や強度情報が解析データとしてPCに記録されます。最終的にマーキングしたデータを確認することで、どの成分が体臭の主要因となるにおい物質なのかがわかるようになっています。この行程を経て、ミドル脂臭の成分が、ジアセチルだと解明できたのです。
STEP4におい成分の発生原因の特定・対策素材の探索研究
におい成分の発生要因の解明のため、臭いの元になる常在細菌や汗、皮脂成分を培養します。培養によってにおい成分を発生させ、体臭対策素材の探索や開発研究に活用しています。