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においの研究 においアイコンジアセチルへの感受性

体臭成分に対する嗅覚感度の男女差・年代差を解析し、 ミドル脂臭の原因成分ジアセチルへの感受性は人によって大きく異なることを発見

マンダムは、東北大学 文学研究科 坂井信之准教授との共同研究により、主要な体臭成分(ミドル脂臭の「ジアセチル」、加齢臭の「2-ノネナール」、汗臭・足臭の「イソ吉草酸」)に対するヒトの嗅覚感度について解析を行い、各体臭成分における嗅覚感度の差、また、体臭成分によっては男女において嗅覚感度の差があることを見出しました。

研究の背景

マンダムではこれまでの男性体臭に関する研究を進める中で、2013年11月に「ミドル男性特有の脂っぽい汗の臭い(ミドル脂臭)」の原因成分が「ジアセチル」であることを発見しています。この研究において、ジアセチルの臭気は、特に女性の不快度を増加させる特性がある事も見出しています(図1)。そこで、男女間や年代間における、体臭に対する感受性の違いを明らかにするため、健常な日本人男女55 名を対象に、ヒトの主要な体臭成分であるジアセチル、イソ吉草酸、2-ノネナールの嗅覚閾値を解析しました。

図1 頭部モデル臭における男女間での不快度の違い

*…嗅覚閾値(検地閾値):ヒトが臭いを感じることのできる最低濃度のこと。嗅覚閾値が低ければ、弱い臭いでも感じることができ、その臭いに対する感度が良い。

研究成果1 ミドル脂臭の原因成分「ジアセチル」に
対して、敏感な人と鈍感な人が存在

ミドル男性に特有の脂っぽい汗の臭い(ミドル脂臭)の原因成分である「ジアセチル」に対するヒトの嗅覚閾値は個人差が大きく、閾値の低い(敏感な)群と、閾値の高い(鈍感な)群が存在することがわかりました(図2)。これは他の体臭成分(イソ吉草酸、2-ノネナール)と異なる特徴的な性質です。

ジアセチルに最も鈍感な人は、最も敏感な人が判別できる濃度の10000 倍の高い濃度でも、その臭いを判別することができませんでした。なお、ジアセチルに鈍感な人の割合は、男性で35%、女性で21%であり、男性の3 人に1 人、女性の5 人に1 人はジアセチルに鈍感ということになります。この結果により、正常な嗅覚を持つ日本人の中にも、ジアセチルを感じやすい人と感じにくい人が存在し、感じにくい人は、自ら発生した体臭が感じられない可能性があります

図2 嗅覚閾値のばらつき

研究成果2 汗臭・足臭の主要成分「イソ吉草酸」は、40 代男性よりも20 代女性の方が敏感

汗や足の臭いの主要成分である「イソ吉草酸」の嗅覚閾値を解析した結果、男性よりも女性の方が閾値が低く、敏感な傾向にありました(図3)。
特に20代女性は40代男性に比べて有意に敏感であることがわかりました。一方、2-ノネナールとジアセチルの感度における男女差や年代差は、見られませんでした。(図4)

図3 イソ吉草酸の嗅覚閾値の男女および年代の差
図4 ジアセチル、2-ノネナールの嗅覚閾値の男女差

研究成果3 加齢臭の原因成分「2-ノネナール」は一般的に「誰でも感知することができる臭い」

加齢臭の原因成分である「2-ノネナール」については他の体臭成分に比べて嗅覚閾値のばらつきが少なく、また、男女共に嗅覚閾値が低い傾向があることから(図2、図4)、一般的に「誰でも感知することができる臭い」であることがわかりました。

評価方法

男性11名、女性10名を対象に、ジアセチルを含む頭部モデル臭サンプルとジアセチルを含まない頭部モデル臭サンプルを嗅いだ後、それぞれの臭いの不快度をVisual Analogue Scale法(VAS 法)で解析した。

Visual Analogue Scale 法

痛みや不快度などの「主観的な刺激」の評価に用いられる手法。「0」を「刺激(臭い、痛みなど)がない」状態、「100」を「これ以上の刺激はないくらいの刺激(これまで経験した一番強い刺激)」として、現在の刺激の程度が10cmの直線上のどの位置にあるかを示す方法。

Summary研究の総括

「誰でも感知することができる臭い」2-ノネナールと、
「敏感な人と鈍感な人が存在する臭い」ジアセチル

今回の知見から、加齢臭成分である2-ノネナールは、一般的に「誰でも感知することができる臭い」であるのに対し、ミドル脂臭の原因成分であるジアセチルは、「敏感な人と鈍感な人が存在する臭い」であることがわかりました。この結果から、ジアセチルに鈍感なミドル男性にミドル脂臭が発生した場合、周囲の感度の良い人が気づいても、自分では気がつきにくい可能性が高く、本人は気づかずとも、周囲は気になることがあるかもしれません。

研究の総括イメージ