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においの研究 においアイコン白色活性炭の開発

『白色活性炭』の開発に成功
体臭原因成分の消臭・吸着力に優れ、肌に塗布しても黒くならない

マンダムは、高い消臭・吸着力を持つ活性炭に着目し、その中でも特に、体臭の原因となるニオイ成分やその元となる汗成分に高い吸着力を示す活性炭(高吸着型活性炭)を開発しました。さらに、この高吸着型活性炭を洗い流さないデオドラント剤へ応用するため、白色化に取り組んだ結果、肌に塗布しても黒色が目立たない「白色活性炭」の開発に成功しました。

本技術により活性炭を、洗い流さないデオドラント製品へ応用することが可能となりました。


研究成果1 体臭原因成分の吸着に特化した、デオドラント剤に最適な高吸着型活性炭を開発

今回の研究では、化粧品で使用される25種類の粉体を用いて、腋臭やミドル脂臭の元となる汗成分(乳酸、ピルビン酸、3-hydroxy-3-methyl hexanoic acid-glutamine (HMHA-Gln))の吸着試験を行い、人体から発する汗成分に対する吸着力は、活性炭が最も高いことを確認しました(図1)。さらに、活性炭でも種類により吸着力に違いがあることを確認し、最も汗成分に対する吸着力が高い活性炭を「高吸着型活性炭」とし、デオドラント剤への応用検討を進めました。

図1 汗成分に対する粉体の吸着力比較

研究成果2 高吸着型活性炭を用いて、デオドラント剤への応用が可能な「白色活性炭」を開発

「高吸着型活性炭」を洗い流さないデオドラント剤に応用するため、高吸着型活性炭にアイメイク商品などに使用されている接着成分を付着させ、さらに適量の酸化チタンを表面に被覆し、白色化させました(図2)

多量の酸化チタンを用いれば、活性炭を白くできますが、体臭原因成分を吸着する活性炭の細孔が酸化チタンで塞がれ、消臭・吸着力は落ちます。一方、白色化のための酸化チタンの配合量を少なくすれば、消臭・吸着力はあるものの、肌に付着すると黒くなり、洗い流さないデオドラント剤には使用できません。マンダムでは、各素材の配合比や配合方法などを試行錯誤し、消臭・吸着力を維持しながら、肌に塗布しても黒くならない白色活性炭を開発しました。

図2 白色活性炭の作製方法

研究成果3 白色活性炭は、さまざまな体臭原因成分の消臭力に優れる

高吸着型活性炭で作製した白色活性炭(以下、白色活性炭)の消臭効果について、ミドル脂臭、加齢臭、汗臭、足臭などの原因成分を用いて確認しました。白色活性炭は、一般的な消臭粉体として利用されている酸化亜鉛に比べ、ジアセチル(ミドル脂臭原因成分)、2-ノネナール(加齢臭原因成分)に対する消臭力が高いことが明らかとなりました(図3)。酢酸(汗臭原因成分)に対しては、酸化亜鉛の方が消臭効果が高いものの、白色活性炭も消臭率75%以上と高い数値を示しました。イソ吉草酸(汗、足臭の原因成分)に対しては、白色活性炭と酸化亜鉛は同程度の消臭効果を示しました。

以上より、白色活性炭は様々な体臭に対しても消臭効果が高いことを示しています。

図3 体臭原因成分に対する白色活性炭の消臭力比較

研究成果4 白色活性炭は、製剤中においても体臭原因成分の消臭に効果を発揮する

白色活性炭を1.0%配合したデオドラントスティックと白色活性炭無配合のデオドラントスティックで、ジアセチル(ミドル脂臭原因成分)と酢酸(汗臭原因成分)に対する消臭力を確認した結果、白色活性炭を1.0%配合したデオドラントスティックは、ジアセチルと酢酸に対して有意に消臭力が高いことが明らかとなりました(図4)。この結果は、白色活性炭が製剤中でも消臭効果を有していることを示しています。

図4 白色活性炭の配合有無による消臭力比較

参考 活性炭の吸着メカニズムと吸着力の違い

活性炭は、ヤシ殻などを高温で炭化(炭になること)し、それを更に1000度近い高温で加熱処理(賦活)したものを言います。賦活化することで、活性炭表面には、細かい穴(細孔)が作られ、この細孔にさまざまな成分が入り込み、吸着されます(図5)。この細孔の大きさ(細孔径)によって、吸着される成分や吸着力が異なることから、その成分に対する吸着力が最も高くなるような細孔径を持った活性炭を使用する必要があります。

図5 活性炭の吸着メカニズム