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ステークホルダー・ダイアログの取り組み 2016.05.18

日本ユニバーサルマナー協会さまによる講習とダイアログを開催しました。

 2016年4月27日(水)、一般社団法人 日本ユニバーサルマナー協会さま と 株式会社 ミライロさま にご協力いただき、ユニバーサルマナー講習、およびステークホルダー・ダイアログを開催しました。

 

参考:一般社団法人 日本ユニバーサルマナー協会

参考:株式会社 ミライロ
 

 ユニバーサルマナーとは、「自分とは違う誰かの目線で考え、適切な理解のもと、行動する『こころづかい』のひとつであり、多様な方々に向き合うためのマインドとアクション」のことです。

 わたしたちは、このユニバーサルマナーの習得と実践は、生活者としての個人のみならず、高齢者や障害者、ベビーカー利用者、妊婦の方、外国人など、多様なステークホルダーの方々との関わりを持ちながら事業活動をおこなう企業にとっても重要であり、真に多様性(ダイバーシティ)を推進し、その取り組みを持続可能なものにするために、非常に意義のある取り組みであると考えました。

 また、わたしたちは、昨年2015年12月にマンダムグループとして初めて選定した「CSR重要課題(初版14項目)」に基づいた取り組みを開始していますが、今回の取り組みは、CSR重要課題の14項目のうち、以下の3つのテーマに関する取り組みを推進させるため、日本ユニバーサルマナー協会さま(株式会社ミライロさま)にご協力をお願いしました。

 

~該当するマンダムグループCSR重要課題(初版)~

【No.03】人権側面: 人権啓発への継続投資
【No.05】労働慣行: 従業員満足と多様性(ダイバーシティ)の確保
【No.13】コミュニティへの参画およびコミュニティの発展: 新しい社会のパラダイムの感知と貢献

 なお、2015年9月にマンダムグループとして支持を表明した「国連グローバル・コンパクトの10原則」においては、人権と労働の以下の原則を推進し具現化させるうえで、わたしたちに必要な「マインドとアクション」のひとつであると考えています。

 

~該当する国連グローバル・コンパクトの10原則~

【原則1】人権: 国際的に宣言されている人権の保護を支持、尊重すべきである。
【原則2】人権: 自らが人権侵害に加担しないよう確保すべきである。
【原則6】労働: 雇用と職業における差別の撤廃を支持すべきである。


◆【第1部】ユニバーサルマナーの基本を学ぶ

 前半のユニバーサルマナー講習では、「高齢者や障害者への基本的な向き合い方やお声がけ方法を学ぶ、導入のための講座」として、CSR推進担当役員(取締役専務執行役員北村達芳)を含む合計36名の社員が受講しました。この講習は、日本ユニバーサルマナー協会さまが全国で実施している「ユニバーサルマナー検定3級」の内容ですので、ここではその詳細をお伝えすることはできませんが、参加した社員一同、ユニバーサルマナー協会 講師の岸田ひろ実さまからのわかりやすく丁寧な講習を熱心に受講し、36名全員が「ユニバーサルマナー検定3級」の認定書をいただきました。

 講習後、参加した多くの社員から、より実践的なサポート方法とより詳しい知識を学ぶ「ユニバーサルマナー検定2級」の受講を希望する声が寄せられたほか、真のダイバーシティ推進の取り組みのひとつとしてユニバーサルマナーを社内に広く浸透させるべきとの意見も届きました。


~岸田ひろ実さま プロフィール~

  • ・一般社団法人 日本ユニバーサルマナー協会 講師
  • ・株式会社ミライロ 講師

 大阪府出身。長女と知的障害のある長男を育てる中、2005年に夫が心筋梗塞により突然死し、2008年に自身も大動脈解離により下半身麻痺となる。

2011年より株式会社ミライロに入社し、障害を価値に変える「バリアバリュー」の視点を活かしてユニバーサルデザインのコンサルティングを手がける。高齢者や障がい者への向き合い方「ユニバーサルマナー」の研修講師としても活躍、年間講演回数は150回以上。


◆【第2部】ダイアログの実施

 ユニバーサルマナー講習の後、後半は、講師の岸田ひろ実さまを囲んで、「多様性と向き合う上で必要なこと」をテーマに、以下のメンバーでステークホルダー・ダイアログを実施しました。

[ステークホルダー・ダイアログ参加者]

一般社団法人日本ユニバーサルマナー協会(株式会社ミライロ)

  • 岸田 ひろ実さま(講師)

株式会社マンダム

  • 北村 達芳(CSR推進担当役員/取締役 専務執行役員)
  • 藤原 延規(オブザーバー/CSR推進部 部長)
  • 渡邉 善弘(総務部 課長)
  • 渡邊 芳知(人事部 労務管理課 課長)
  • 高井 正幸(人事部 労務管理課)
  • 西浦 けい子(人事部 ダイバーシティ推進室 室長)
  • 沈 南香(人事部 ダイバーシティ推進室)
  • 汐見 悦志(技術開発センター 技術管理室)
  • 小林 政則(福崎工場 生産業務課 課長)
  • 松岡 千恵(福崎工場 生産業務課)
  • 清水 則子(CSR推進部 お客さま相談室)
  • 西山 掌(ファシリテーター/CSR推進部 環境・社会貢献推進室)


 ダイアログでは、障害者や高齢者、妊婦の方、外国人など多様な方々とともに職場で働くうえで必要なことや、そうした社外の方々に対して企業として必要な対応の方法、バリアフリーやユニバーサル・デザイン、メンタルヘルスなどについて、積極的な意見交換がおこなわれました。

 講師の岸田ひろ実さまからいただいた障害者の視点からみた企業や職場に対する率直な意見、「障害は人ではなく環境にある」、「遠慮は必要ないが、配慮は必要」、「何よりもコミュニケーションが大切であり、まずは声を掛ける勇気と習慣を持つこと」、「風通しの良い会社の風土づくりが重要。上司や先輩などからの明るい笑顔でのあいさつは基本」などといったアドバイスは、参加者一同、あらためて気付かされることも多く、非常に感銘を受けました。


◆ユニバーサルマナー協会 講師 岸田ひろ実さま コメント

 「美と健康を通じ、快適な生活にお役立ちする」という企業理念のもと、社員の方1人1人が製品・サービスの提供を徹底して行っていらっしゃる姿に大変感銘を受けました。

 今回、皆様にお伝えしたのは「ユニバーサルマナー」という考え方です。

 私たちの暮らす現代は、高齢者や障害者、ベビーカー利用者、外国人など、多様な方々を街で見かける時代です。声がけやコミュニケーションを行う時には、多様な人々の特徴や心理状況を知ることから始めなければいけません。その上で、ケースバイケースの適切なサポートが求められます。

 私たちにとって“自分とは違う誰かの視点に立ち、行動すること”は、特別な知識ではなく「こころづかい」の一つだと考えています。多様な方々に向き合うためのマインドとアクション、それを私たちは「ユニバーサルマナー」と名づけました。

 今回のステークスホルダー・ダイアログでは、「多様性と向き合うために必要なこと」として、社員の皆様には様々なシチュエーションで考えていただきました。実際に各部署で社員の皆様が直面されていることをお伺いしたところ、お客様とのコミュニケーションを大切にされているからこそのお悩みが伝わってきました。

 障害のあるお客様やご高齢のお客様とかかわる時、過剰な配慮になってしまっていたかもしれないという不安な気持ちを多く頂きました。まずは「何かお手伝いすることはありますか?」とい声掛けから、コミュニケーションをスタートする大切さをお伝えしました。

 今後も多様なお客様だけではなく、共に働く社員の皆様とコミュニケーションをとる時には、「何かお手伝いすることはありますか?」という優しい一声を掛け、歩みよることが何よりも大切だということを、これからの現場で思い出していただけたら幸いです。


◆参加者コメント

渡邉 善弘(総務部 課長)

 今回のダイアログに参加して、ユニバーサルマナーとバリアフリーを混同して捉えていたことに気づくことができました。また、日常の生活で接していても普段から、意識をしないと見えてこない事象の多いことに改めて気づかされました。

 私の所属する総務部は、本社ビルの保全や管理を通して、社員のみならず、来社されるお客さまにとって、安全で快適に過ごすことが出来る環境を提供することは重要な職務のひとつであり、今回のダイアログで得た知識を今後のビル管理につなげることにより、本社ビルを利用されるあらゆる皆さまから、配慮の行き届いたビルであると感じていただくようになれたらと思います。


渡邊 芳知(人事部 労務管理課 課長)

 ユニバーサル・マナー協会さまとのダイヤログを終えて、高齢者、障害者の方をはじめ、社会にでることに不安を抱えている様々な方々に対しての接しかたを学ぶことができました。

 そういった不安を解消するためには「環境」を変えることであり、ハード面の改善を見てみると、ごく自然に環境が改善され、また、街でみかける障害者に関するマークについても理解でき、普段当たり前のように感じていた環境変化にも意識付けが出来ました。

 もう一つはソフトの面ですが、私なりに、障害者、高齢者等の方々への配慮というものを理解してきたつもりですが、本当にその人の立場、目線で考えたことはあったであろうか反省させられました。

 今は人事部という立場で、障害者、高齢者、妊婦の方、外国籍の方など、多様な人財が安心して業務に就けることと、多様な働きかたの両立を目指し、安心で安全な職場環境づくりを目指したいと思います。


高井 正幸(人事部 労務管理課)

 今回参加させて頂いたダイアログや様々な知識を聴講し、障害者への対応という狭義な意味合い以上に、「自分とは違う誰かの目線で考え、適切に理解し行動すること」が非常に大切であることを再認識することができました。

 自分自身、街中や電車等で障害者の方や高齢者の方等を見かけると、「こうすべきだ」や「何かしなくては」と曖昧な知識の中で判断してしまうため、戸惑うことが多々ありました。しかし、実際には何も難しいことではなく、自分勝手に判断せず、「何かお手伝いすることはありますか?」と声を掛け、相手にして欲しいことを伺うことが大切で、望まれていることであることを知り、「自分とは違う誰かの目線で考える」とはこういうことかと改めて気付かされました。

 今後は、今回学んだ知識を活かし、実践していこうと思います。今回は貴重な機会を頂きありがとうございました。


西浦 けい子(人事部 ダイバーシティ推進室 室長)

 普段なんとなくこうかな…と思っていても、本当にそれでいいのだろうかと自信が持てないジャンルはたくさんあります。その中の一つが“障害をお持ちの方への接し方”でした。

 一口に障害といっても多様な世界ですし、自分の身近にいなかった方々にどう接したらいいのかは不安が先に立ちます。今回、ユニバーサル・マナーの学習を経て、そんなモヤモヤが少しクリアになった貴重な体験でした。

 人は経験を経て学習するものなので、経験知が少ない分野は専門家に聞くことが必要です。今後はお困りかなと思ったら、無視せずに「MAY I HELP YOU ?」とにっこり笑って言えるようにがんばります。またダイバーシティ推進としては、障害者雇用についても力を注いでいきたいと思います。

 

沈 南香(人事部 ダイバーシティ推進室)

 当社の「ダイバーシティ&インクルージョン」を推進するうえで、障害者の雇用促進および活躍推進におけるヒントをたくさん頂き、大変有意義な機会となりました。特に、障害者への「さりげない配慮」とは、気付いたらすぐ行動に移すことが大事で、「何かお手伝い出来ることはありませんか?」という ”魔法の言葉” を使い、自分から一歩踏み出すことの大切さを改めて実感させられました。

 本人の「できる」「できない」ではなく、自分自身に何ができるかを考え行動していきたいと思います。また、「障害は人ではなく、モノや環境にある」を意識し、これからだれでも働きやすい環境の整備、風通しのよい職場づくりを全社で目指していかなければいけないと思いました。


汐見 悦志(技術開発センター 技術管理室)

 今回、ユニバーサルマナー講習を受け、障害は人にあるのではなく、環境にあることが理解できました。講義の後で演習問題をグループで話し合いながら解くことで、身近な環境に種々の障害が多数存在することに気付きました。

 また、高齢者や、障害者へのサポートのためのコミュニケーション法として、さりげない配慮と共に自分に何か手伝えることがあるかを声かけすることが行動の第一歩であることを教わりました。

 ダイアログを通して、講師の岸田さまとマンダム社員との意見交換が、身近にある多様性の認識を深めることができました。まだ習ったばかりですが、ハード面のユニバーサルデザインとソフト面のユニバーサルマナーの普及を推進することで、多様性社会が理解され持続可能な社会が実現できると確信しました。

 

小林 政則(福崎工場 生産業務課 課長)

 普段は意識しない高齢者や障害者への気遣い。その方たちに良かれと思うことをあれこれ考え、意識を働かせるための今回の講習…と考えていた最初の思い込みはかなり見事に打ち払われました。

 もちろん自分とは異なる立場の人たちを思いやることはユニバーサルマナーの根幹なのですが、「お手伝いできることはありますか?のお声掛けから始めれば良い」、「100点満点を目指さなくて良い」、といった今回のお話で、お仕着せの思いやりを頭でっかちに考え込もうとしていた私の心が軽くなった気がしました。

 工場の中でお客さまをお迎えする役目の部署としてホスピタリティの向上を常に目指していますが、漠然と”おもてなし”、”思いやり”を考えていた中に、今回の講習と対話を通じて、ひとつ芯の通った考え方を得た思いがします。また、業務上だけではなく一個人としても、他者の多様性と向き合ってさりげない配慮をしていくようになりたいと思います。


松岡 千恵(福崎工場 生産業務課)

 ユニバーサルマナー講習を受講し、改めて「障害者」について無知であることに気付きました。というのも、障害者に関するマークのひとつである「オストメイト・マーク」が当社の工場内にあるにもかかわらず、講習を受講したことで初めて気付きました。いままでいかに眼を向けていなかったのか反省しました。

 講習を受講したからには、まず課員へ、そして工場の社員へ、また家族へと情報を共有し、「障害者」「多様な方々」について考える時間を積極的に作り、みんなの意識を変えることが重要だと思います。

 「今、車椅子の方が職場で働けるか?」と聞かれると、直ぐに受け入れできる環境が整っていないのが現状です。社員ひとりひとりの意識・視野を変えることで、環境も変化していくのではないかと考えます。「今、私に何が出来るか」を常に考え、人に対して、「思いやり」、「気づかう」気持ちを忘れずに、より良い職場づくり・工場づくりを目指します。

 

西山 掌(ファシリテーター/CSR推進部 環境・社会貢献推進室)

 昨年12月のCSR重要課題の設定以来、マンダムらしいCSRとは何かを考えてきましたが、社名の由来である「Human & Freedom」の通り、「人権」はマンダムらしいCSR推進の核になるテーマのひとつだと考えています。

 社内・社外の多様な方々が感じる障害について適切に理解し、多様性と向き合いながら適切な配慮が出来る組織づくりのためには、先ずはユニバーサルマナーの理解と習得が必要であると考え、今回の取り組みを企画させていただきました。

 例えば、障害者雇用については、法定雇用率を達成して法令に沿った組織体制や設備などハード面の整備が出来ても、多様な障害者の方々に対する適切な理解や向き合いかたがそれぞれの組織で出来ておらず、やりがいのある仕事が与えられていなければ、その取り組みは持続可能ではありません。ユニバーサルマナーの実践により、真のダイバーシティ推進のために必要な環境のソフト面(ハート)の整備に微力ながら努めたいと思います。

 ちなみに、ダイアログの後、当社の食堂を利用して懇親会を開催しました。そこでも講師の岸田さまを囲んで、仕事を離れてのなごやかな雰囲気のなかでさまざまな話題で盛り上がりました。
 講師の岸田さまをはじめ、株式会社ミライロ ディレクター 石川さまなど、今回の開催にむけてご協力いただきました方々に対し、深く感謝いたします。有難うございました。

このダイアログの模様は、8月発行予定の「考働レポート2016」でもお伝えいたします。

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