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夏になるとミントが
恋しくなる理由
スーッと感じるのは、
ミントがTRP(トリップ)M8(エムエイト)を
活性化させるから
夏になるとミントが注目されるのは、ミントに含まれるメントールが清涼感を与えてくれるからですが、これはまさにTRP(トリップ)チャネルのおかげ。メントールがTRPM8(エムエイト)を活性化するからです。TRPM8は、約26℃以下の温度を感知するセンサーですが、実際には30℃の暑さでもメントールを感知することで、脳に「涼しくなった~」と錯覚させるのです。
アイスクリームとミントの組み合わせは、「冷たい」+「メントール」のW効果でより冷たさを感じます。暑い国でよく飲まれる冷たいカクテルにはミントの葉を使ったものも多いですよね。なかでも文豪・ヘミングウェイが愛したキューバ発祥のモヒートは、ミントをたっぷり使いますが、このミントにさらに殺菌効果があるビタミン豊富なライムを加えて作られた「ドラケ」という飲み物が原型。「ドラケ」はキューバでコレラが大流行したときにも活躍したと伝えられています。もともとは薬効酒だったのです。
ミントたっぷりのモヒートグラスの中で優雅に泳ぐカリブ版人魚姫の物語があったら、クールな結末かもしれませんね。
メントールとユーカリは、
清涼感の強力コンビ
メントールと同じように、ユーカリの葉の成分・ユーカリプトールもTRPM8を活性化して、冷たい感覚を生み出すことがわかっています。しかも、ユーカリプトールはメントールにとって重要なパートナーでもあるんです。
メントールの量が多いと刺激が強すぎてむせ返るようなツーンした不快感を感じることもありますよね。この不快な刺激は、高濃度のメントールが、TRPM8だけでなくTRPA1(エーワン)を活性化してしまうために起こる現象で、ユーカリプトールにはこのTRPA1の活性化を抑える作用があることがわかったのです。つまり、ユーカリプトールとメントールを組み合わせれば、不快な刺激は抑えてスーーーッと強い清涼感を与えることができるというわけです。この思わぬ組み合わせは、マンダムの研究によって発見されました。
ちなみに、コアラはユーカリの葉を食べて、枝に抱きついて過ごします。夜行性の動物で一日のうち20時間近くも木に抱きついて寝て過ごすといいますが、これは周囲の環境より木の上の方が温度が低いため。暑さ対策で木に抱きついていたのですね。コアラが食べるユーカリの葉は毒性が強くコアラだけが食べることができますが、昔からオーストラリアの先住民族の間では、熱病の治療薬として用いられ、フランスでは「熱さましの木」といわれてきました。ユーカリもミントも、古くから鎮痛・鎮静作用や抗炎症作用などの効能があるとされてきましたが、そのメカニズムがTRPチャネルによって解明されつつあるのです。
そんなユーカリの葉を食べているコアラを抱っこしたら、私たちのTRPM8が反応して清涼感を感じることができたらうれしいですが、さすがにそれはないですよね。 しかも、コアラは繊細な動物で日本ではコアラを抱っこすることはNG。でも、その愛らしい姿は見ているだけで十分癒されます。
ミントタブレットを食べたあとに冷たい水を飲むと、
水の温度をどう感じるでしょう?
より冷たい水を飲んでいる気分に!
ミントタブレットを食べたあとに飲んだ水がいつもより冷たく感じるのは、ミントタブレットに含まれるメントールがTRPM8を活性化して、水の冷たさとの相乗効果でひんやり感を強く感じるようになるから。暑い夏、手もとの水をもっと冷たく感じたいときに、ぜひお試しを!
なぜそう感じるの?